ねじれたループのトポロジーを持つ低次元電子系としての学問的価値だけではなく、応用の可能性も考えてみました。
写真のような円筒型の物質は、NbSe3ホイスカーがコイル状に積みあがった構造をしていると思われます。そのため、強磁場を発生するマイクロソレノイドとして利用できる可能性があります。あるいは、NbSe3分子間に化学的に軽金属原子を挿入することで、超小型の電池を構成できるかもしれません。
エレクトロニクスの分野では、トポロジー的な性質を利用して、変わった特性のデバイスをデザインすることも不可能ではありません。
リボンノットについて考察すると、ひねりの入ったループを円周方向に切り裂くことで、絡み合った2つのループを作ることができる事が分かります。インダクタンスで結合したループが連なった、機械的に柔軟な鎖・鍵束型のデバイスは何らかの需要があるでしょう。
その他にも、球面上に張り付けられたひねりの無いリボンから、様々なひねり・絡み方をした"リボンノット"を作ることができると言うトポロジー的な概念を体現する物質として、教育的な価値もあると思われます。